炭坑の子供たち(2)
 クラスで1番可愛い子が、風邪でも引いて休んだりすると

もう男子共はみんなソワソワ

下校時に、連絡のガリ版刷りや、給食のパンを

彼女の家に持って行きたがったが

そこは、家が近い者の特権である。

行っても、彼女は寝ていて、姿を見せないのだが

奥にいるのかと思うだけで、胸が高鳴ったものだ。

恩を着せておいて、恋に発展するのを期待するが

やがて、回復して出て来ても

「〇〇君、こないだはありがとう」

の一言で終わりである。

それでも、好きな者の弱みで、十分幸せであった。

その子は、体が弱いのか、又急に学校に来なくなり

みんなが心配していると

その内、机の上に、花瓶にさした花が置かれ

どうやら、白血病にやられたらしい。

美人薄命である。

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