shining☆moon‐私の王子様‐
~~フレン.said~~
「くっそ…」
ユリアを追いリダアースの部屋に来たものの、結界がはっていて中に入れない。
でも、かすかに声だけは聞き取れた。
話してる事は……。
「私が二人を以前のような中の良い二人に戻します…!」
俺とヴィンセントの事だった。
俺たちの問題なんだから放って置けばいいのに…。
ユリアの考えていることがフレンの耳に入ってきた。
【誰一人死なせない。ヴィンセントとフレンが戦うといっても、二人とも死なせない。私が止めて見せる】
「ユリア…」
ユリアが俺とヴィンセントの事を想ってくれてる。
心配してる。
守ろうとしてる。
…ばか……。
立場が逆だろ…。
俺がユリアを心配する方だろ。
守ろうとしてる方だろ…。
守ろうとしてる人が俺を守ってどうする…?
俺は足手まといなのか……?
ユリアにとって邪魔扱いなのか?
不必要なのか?
わからない……。
俺はいつもユリアの傍に居たのに一番肝心なことを忘れていた。
もしかして一番近くにいて、一番遠い存在なのだろうか。
部屋からリダアースとユリアの笑い声がした。
俺にとっては不愉快だけれどユリアが笑っているならそれでいいと思った。
もう月が空に上がる。
フレンはレオのいるロビーに行った。
そしたらレオが誰かとしゃべっていた。
「あ…、フレン」
「レオ、誰と話して…」
フレンは目を丸くした。
栗色の髪に高い背。
見慣れた顔をしてフレンを見る。
「やぁ、フレン。元気だったか?」
「…クロード・メイヴィス……」
俺の兄だった。