shining☆moon‐私の王子様‐
クロード・メイヴィスは俺の兄。
兄弟なのに、名前が違う。
兄はクロード・メイヴィス。
俺はフレン・ロザフォース。
俺と兄は優秀な剣士の息子だった。
父はアリスレパード家の兵士で最強隊A班隊長だった。
兵士に入隊すると名前が変わる。
俺は兵士にならなかったから変わらないままだ。
だが兄は兵士になり、なんと全班隊長に選ばれ兵士世界のトップレベル。
そして何故だか俺の目の前にいる。
「どうしてこんなところにいる…?」
「会いたかったから!」
「黙れ」
俺は机の上にある紙袋に目を向けた。
「これは…?」
紙袋に手を伸ばした。
すると、巨大な魔力を感じた。
クロードは真面目な顔つきになり口を開いた。
「…フレン、あいつと戦うのか?」
「あぁ」
兄にまで話しは流れてたのか。
レオはため息をつき、フレンを見上げた。
「…フレン、気をつけて」
「ありがとうな…」
俺はあいつと戦わなきゃいけない。
長年のライバルだったあいつと。
俺はあいつの気持ち、わかってあげられなかった。
あいつが俺に嫉妬して、それがエスカレートし、今に至っている。
俺があいつの気持ちを知っていれば。
あいつが“嫉妬”という感情を通り越さなければ。
こんな事にならずにすんだ。
でも。
これが運命ってやつだよな。
あいつと俺が出会ったのも、あいつが凶悪になったのも。
すべて、神様が仕組んだ運命。
だからこそ、俺とヴィンセントは戦わなくちゃいけない。
「その紙袋、開けてみ」
クロードのいう通り紙袋を開けてみた。
中身は、分厚い深緑色の本だった。
その本には飛び散った血痕がある。
「これは…!」
レオが敏感に反応したが、フレンは無反応。
「さっき下町のショッピングセンターで買ってきた」
「なんだ、これは」
クロードの口が歪んだ。
「これは、昔初代エルランドの墓にあった本だよ。ムワーダ島の…」