shining☆moon‐私の王子様‐
すれ違う想い
~~ユリア.said~~
ルイスがいないまま私たちは任命試験会場の影の島に向かう。
船の中。
ルイス…。
青い海を眺めながら出てくる名前。
髪をなびく潮風も空をあおぐカモメたちも、儚く全てが虚しく感じた。
フレンもフレンで船の外を遠い目で見るように頬杖をつき黙ったまま。
唯一レオは何もしないで分厚い本を並べて腕を組み交互に見ている。
レオはルイスが心配じゃないの?
そう思いつつ空をあおぐカモメたちを眺めていた。
するとリダアースが今回の任命試験に出る人達をつれて私の前にきた。
「どうしたんですか…?」
「ユリア様、今回出場する人達です」
そこには男女合わせて十三人。
初めて見る人や、フレンのファン のリーダー、その他の人達だった。
で1人濃い灰色のフードつきのマントを着た人がいた。
なんだろう。
この感じ。
その人からは何か不思議な気配がただよってくる。
男の子なのか女の子なのか実際のところよくわからない。
こんな人居たっけ?みたいな感じ。
「宜しくお願いします…」
ユリアは深々と同じ出場する人達にお辞儀をした。
するとマントの人と、フレンのファンのリーダー以外はお辞儀をした。
そしてリダアースと一緒に戻っていった。
「…あんたなんかフレン様にはふさわしくない」
「…ははぁ」
ユリアは苦笑いして手を降った。
あれ…?
灰色のマントの人はその場を動こうとしない。
潮風にマントがゆらゆらと不気味になびき、ちらっとフードの中が見えた。
「……っ…!!??」
そこには見覚えのある人物。
人間界の学校でクラスメイトだったあの人。
マントの人は口を開いた。
「……ユリア…アリスレパード…」
ビクッ…―
体に違和感を覚える。
命に危機感が襲い、体が震え、心臓が不気味なくらい高鳴り、私に恐怖心が芽生える。
私はガクガクした口をやっとひらいてこう言った。
「…本田……くん…?」