shining☆moon‐私の王子様‐


ユリアの声が異様に響いた。
周りが静まりかえるような、人間界のころの時の狭間に居た時のようだった。

本田くん…。
こんなところで会うなんて。
その前に忘れてたな。
本田くんの存在を。

でも、なんでここに居るんだろう。
本田くんはエルランドの仲間だったのかな?


「ほ、本田くん、どうしてここに…?」

「何故だと思う?」

「へ…?」


本田くんはニタニタ気持ち悪く笑い、肩を震わせる。
背筋が一気に寒くなる。


コツ…コツ…


本田くんひ少しずつユリアに近づく。


コツ…コツ…


ユリアも後ずさりをする。
ゆっくりと近づく本田くんに冷や汗をかいた。

ユリアはフレンとレオを見る。
フレンは相変わらず水平線を眺める。
レオは本を紙袋にしまい、寝ていた。

二人とも……!!
…どうしよう。

本田くんは容赦なく私に近づいてくるし…。


トン…―


後ずさりをしていたら背中に何かがあたった。
ユリアはキョロキョロしたら中に入るときの階段の下にいた。
それで背中にあたったものは壁だった。


「……っ…!」


どうしよう…。
ちょうど左右には壁があって、私はそのくぼみに入ってしまったらしい。
前代未聞の状況。


とうとう本田くんが私の真ん前に来ていて、フレンとしかつくったことがない距離になった。



ドクッ…ドクッ…ドクッ…



高鳴るこの鼓動は恐怖を表しているもの。
決して好意を表したものではないし、緊張を表しているものでもない。




怖い。





ただこう思うだけ。
これ以外の感情は、と言われたら、きっとこう思うだろう。





気持ちが悪い。




「…イヤ……」


もう、フレンとつくった距離を越えていて、顔が約10cm程度の近さ。


近い……。



「どうする…?このままキスしちゃう?」


本田くんが私の耳元でささやく。
体がビクつき、目には涙が浮かぶ。
本田くんはニコニコ笑っていて、私のほっぺたに吐息がかかる。

助けて…。



「……フレン…」





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