shining☆moon‐私の王子様‐
でも、私の声は届かなかった。
フレンは今きっと私の事なんかよりヴィンセントの事で頭がいっぱいだと思う。
「フレン?誰だよ。そいつ」
「…い、やだ……」
「質問に答えろ」
「質問に答えるのはあんたでしょ…っ!!」
そうだよ。
最初に応答するのは本田くん。
私はさっきどうしてここに居るのかたずねた。
「…どうしてここに居るわけ?」
本田くんはフードをとり、私から顔を離し、真剣な眼差しをした。
少し力が抜けてきた。
「俺は……」
凄く悲しい顔をした。
泣いているの?
うつむいていてよくわからないよ。
私、なんかまずいこと言っちゃったかな?
ごめんなさい。
ユリアはゆっくり本田くんに手を伸ばした。
と、その時。
本田くんはユリアの手の指に自分の指を絡めて自分の方に引き寄せた。
そしてニコニコ笑った。
「……きゃっ…!」
「可愛い声、出せるじゃん」
本田くんは片手でユリアを抱き寄せ、密着させる。
ペタッとくっついた身体は逃げられない。
「離して……んく、苦しい…」
「俺がここに居ること、知りたいんじゃないの……?」
少し色っぽい声で私の耳元でささやく。
「…んやっ……」
「…やらしい」
「…んぅ」
あ、あんながやらせてんだろうが!!!
離れてよーー!!
「はっ早く言いなさいよっ!!」
「えぇ、もっと可愛い声聞きたいんだけど」
「…っ……!」
本田くんから離れたい…。
離れたいんだけど、体が言うこと聞いてくれない。
力が入らない。
何が起こっているの…?
「…嫌がっていても、体は素直なんだよ……?」
「…うぁ…っ…」
また耳元でささやかれる。
体がビクつく。
どんどん体の力が抜けてく。
フレン……。
本田くんの片手で私のあごがクイっと上げられる。
「…キス……、しよっか」