shining☆moon‐私の王子様‐


~~フレン.said~~


…もどかしい。
ヴィンセントが頭に浮かび離れない。

潮風がフレンの赤い髪をなびかせ、太陽のまばゆい光がフレンの髪を美しいルビー色に輝かせる。
耳についたピアスが髪にぶつかって存在感がでる。

フレンは青い海を眺め、水平線を探す。


水平線って、どこまであるのだろう。
永遠に続いて、果てしないものなのだろうか。
俺たちも同じように永遠に友達のままで居たかったのに。


『大切な人の前で哀れに死ぬんだな』


過去に言われたことがあるような言葉。
なんの意味を表しているのか。
ヴィンセントはどんな気持ちで言ったんだろう。

フレンは自分しか聞こえないぐらいの声でボソッと呟く。

「…ヴィンセント、俺達はどうして戦わなくちゃいけないんだ…」

どうしてヴィンセントは戦いを望む。
なんのために争う。


フレンは眉間にシワを寄せた。
そしてうつむき考える。

ヴィンセントは何故、ルイスを誘拐したんだろう。
人質に?
人柱にするつもりか?
でも何故ルイス…。
ルイスが居なくなって一番傷つくのはユリアなのに…。

ユリア…?


「……っ!!」


ユリアだ。
あいつは最初っからユリア目的だったんだ。
ユリアには強大な力が眠っている。
もしかしてそれを利用して…。

俺を殺すと…?



確かにユリアには“悲しみ”“憎しみ”“怒り”が最大限にまで達すると人を死に至らせるぐらいの力はある。

でも誘拐ぐらいじゃその力は最大限にはならない。

そう言えばユリアのこの力は前に一回解放された時があった。


その時は……。




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