shining☆moon‐私の王子様‐
ユリアの父、クリバス・アリスレパードはセヴィア王国を治めていた王だった。
王にしたえる兵、騎士達は力もあり、戦いは全て勝ち尽くしていた。
だが、ある日のこと。
魔王が住むと言われているゾルヴァーナ王国との戦いにクリバス王は兵達に同行し、幼かったユリアとユリアの母、エミス・アリスレパード女王を城に残して戦場へと行ったのだった。
戦場ではすぐに赤黒いじゅうたんが広がり、その上に人は積み重なっていく。
そしてセヴィア王国の兵はゾルヴァーナ王国の魔術師達に支配されたという。
クリバス王は体に無数の剣を突き刺され血の海に埋もれて死んだという。
ゾルヴァーナ王国の魔術師達はセヴィア王国のユリア達がいるロゼッチュール城に向かい、クリバス王の死を笑いながら告げた。
幼いユリアにはまだ理解はできなかったが、泣き崩れる母、エミス女王や、ゾルヴァーナ王国の魔術師達が城を囲み守っていたセヴィア王国の兵、メイド、シェフ達を次々と赤い花をそえていた。
その花びらはユリアの頬にピシャッと音を立てて流れていく。
ユリアは気づいた。
自分の仲間やお父さんを殺したと。
ユリアは頬の血を手で触り見つめた。
震えるユリアの体からは燃え盛る炎が身を包み、髪の毛がぶわっと上がる。
そしてその炎は父を殺し、しかも仲間を殺したゾルヴァーナ王国の魔術師達に罪を知らせるためのように火は魔術師達を燃やし、影も形もなくした。
これがユリアの“悲しみ”“憎しみ”“怒り”が最大限になった時だ。