shining☆moon‐私の王子様‐


息があがって苦しい。
だけど今は胸が苦しい。
走ってるから苦しいんじゃなくて、胸が締め付けられて苦しい。
何か考えよう、考えなくちゃ、と思って考えようとすると、無理にフレンが入ってきて私の頭の中を支配する。
離れようとしない。
離れない。
離れたくない。
そう、思ってしまう。
『気持ちわるい』と言われた時と、『好きだよ』と言われた時の顔を比較してしまう。
『好きじゃない』、そう言われた時は、まだ嫌いじゃないから大丈夫かな!と思っていた。
だけどこれで白黒ハッキリついたんだよね。





私はフレンに嫌われた。




と。


もう、自分がわからなくなっていた。
扉に行けば私の気持ち、これからの行きかたがわかると思う。
あの女性の人が唯一私の助け船。
だから…だから…



だから…。
探していたのに…。


今まで走って来たから息が最高値に達していた。
ユリアは床にペタッとなだれていった。

目の前には、風景画。
廊下の最終地点まで行ったと言える。


「どうして…」


扉がない。
あるのは、果てしなく続く草原に、雲1つない青い空が描かれた風景画。

さっき私が見たのと同じ。


「なんで…なんで…なんで…」



神様は私に味方してくれない。




「…あぁぁぁ……!!」


ユリアの泣き叫ぶ声は長い廊下にむなしく響き渡った。



< 125 / 212 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop