shining☆moon‐私の王子様‐
息があがって苦しい。
だけど今は胸が苦しい。
走ってるから苦しいんじゃなくて、胸が締め付けられて苦しい。
何か考えよう、考えなくちゃ、と思って考えようとすると、無理にフレンが入ってきて私の頭の中を支配する。
離れようとしない。
離れない。
離れたくない。
そう、思ってしまう。
『気持ちわるい』と言われた時と、『好きだよ』と言われた時の顔を比較してしまう。
『好きじゃない』、そう言われた時は、まだ嫌いじゃないから大丈夫かな!と思っていた。
だけどこれで白黒ハッキリついたんだよね。
私はフレンに嫌われた。
と。
もう、自分がわからなくなっていた。
扉に行けば私の気持ち、これからの行きかたがわかると思う。
あの女性の人が唯一私の助け船。
だから…だから…
だから…。
探していたのに…。
今まで走って来たから息が最高値に達していた。
ユリアは床にペタッとなだれていった。
目の前には、風景画。
廊下の最終地点まで行ったと言える。
「どうして…」
扉がない。
あるのは、果てしなく続く草原に、雲1つない青い空が描かれた風景画。
さっき私が見たのと同じ。
「なんで…なんで…なんで…」
神様は私に味方してくれない。
「…あぁぁぁ……!!」
ユリアの泣き叫ぶ声は長い廊下にむなしく響き渡った。