shining☆moon‐私の王子様‐
「へ…?」
「だってケンカしたんだから部屋に戻るの気まずいだろ?」
本田くん……。
私を思って。
そんなことを。
「ありがとう…」
私と本田くんは、本田くんの部屋に向かった。
部屋に着くと、本田くんはココアを出してくれた。
「はい」
「ありがとう」
ココアを一口飲んだ。
温かくて、喉をなめらかに通り抜ける。
そしてその味は病みつきになるように味覚がココアの味を求める。
なんか似てるね。
私はこの世界にきて初めてフレンの笑顔を見たとき、もう一回みたい、と思ってしまっていた。
なのに。
逆にフレンが私を笑顔にさせてくれていた。
そんな私を見てよく、フレンは笑っていた。
本当に心から笑っていたの?
今の私は疑問に思い。
「ねぇ」
「何?」
「普通さ、毒とか入ってたりしたらどうしよう、とか思うでしょ。…普通に飲んだね」
「え?なんで」
「俺等、敵同士だよ?」
あぁ、確かに。
そうだった。
毒とか入ってたりするか。
忘れてたし。
その前に普通に部屋に入ってきちゃっし。
しかも、夜泊まっちゃうし。
私、スキがありすぎだね。
でも今は本田くんしか頼りになる人はいない。
いくら敵同士でも。
私は本田くんと戦う気なんてないし、むしろ味方でもないと思うな。
私…、これからどうすればいいのかな?
レオともフレンとも話したくない、ううん、話せないんだよね。
だから正直本田くんがいたから助かった。
ありがとう。
本田くん。
「私、寝たい!」
「お前…、いそうろうみたいなもんだからな!」
「わかってるって~」
なんだか気持ちが楽になった気がする。
心の傷が少し修復された気がするよ。
私はベッドに行きすぐに眠りについた。
本田くんはソファーに座りココアを飲んでいた。
「…これじゃあ、こいつと戦えねぇじゃんか……」
ポツリと本田くんは呟いた。