shining☆moon‐私の王子様‐
忘れられない事
~~レオ.said~~
あぁ、フレンとユリアに謝らなきゃ。
レオは船の中の食事をするレストランの前の通路を渡って行った。
いい臭いがする。
スパイスの効いたカレーライスに、濃い味付けがされたパスタ。
どの臭いも僕の鼻をくすぐってきて、食べたい気持ちが大きくなる。
でも、今は大事な事が優先だ。
フレンとユリアを傷つけた僕には重大な罪がある。
フレンをからかって、ユリアに嫌って欲しくて恥らせた。
予想外のことにユリアを泣かせてしまった。
あぁ、気まずい。
僕の心臓はバクバク音を鳴らす。
レオは赤いカーペットの廊下を渡り、フレンとユリアの部屋まで来た。
ここにフレンとユリアがいるんだな。
考えるだけで怖くなる。
だって、二人とも僕に怒ってるに違いないからだ。
だから、今、二人は楽しくティータイムってところかな。
仲良くしてて。
僕の悪口言ってて。
楽しそうに、二人の想いを結び付けている頃だろう。
レオはドアに耳を当てた。
声がしない?
ティータイムなはずなのに静かすぎる。
レオはドアノブに手をつけた。
そして下に下げてみた。
開いてる…。
僕はそっとドアを開けて中に入っていった。
暗くて電気がついていない。
もう、外は暗いっていうのに。
フレンは?
フレンはどこだ?
静まり返っている空間。
聞こえるのは自分の鼓動。
レオはベッドに目を向けた。
「……っ…」
そこには、枕を抱えたフレン。
…だと、思う。
暗くてよくわからない。
でも、ジャスミンの香りがするからきっと、いや絶対フレンだ。
僕はフレンに近づいた。
フレンは顔を上げて僕を見た。
「…レオ…」
あれ?
僕に怒ってない…。
「僕の事怒ってる…?」
「ん…、まぁ」
あ、怒ってるのね。
フレンの枕を見ると、濡れているのがわかった。
涙?
どうして…?
「…あ、フレン。ユリアは…?」
「…ユ…リア…?」
フレンの声はトーンが下がり、悲しい表情へと変わっていった。