shining☆moon‐私の王子様‐
「…ユリア…?」
また優しく呼んでみた。
相変わらずビクついていて可愛いとしか、言いようがない。
こんなに俺の気持ちを左右しといたんだから大人しく俺のものになっとけよ…。
今にも心臓が破裂しそうなのに。
保証してくれるのか?
「…フレン…。わ、私ね…?…フレンに死んで欲しくないっ!!」
「わっ!!」
恥ずかしがって顔を隠していたユリアはガバッと起き上がり、俺をつき倒した。
さっきの逆転状態。
「…ユリア?」
「死なないでっ…」
「あの…」
俺にキスしたのは死んで欲しくないから?
……はぁ、考えが可愛い…。
その前にユリアは俺がヴィンセントとの戦いに負けると思ってるのか?
っつか、勝手に俺を死ぬっていう設定にしないでくれ。
俺はユリアの頬にそっと手を当て、優しい眼差しをユリアに向けた。
「ユリア…。俺は死なないよ?…ユリアを置いてなんか行かない。…俺が死んでユリアが悲しむなら俺は死なない。…ユリアは俺が死んで悲しい?」
「うん…」
ユリアの目からは涙が溢れて俺の頬に落ちた。
温かくて、でも冷たい、ユリアの涙。
月明かりで少し見える赤くなった顔と潤んだ瞳が、ユリアをより一層ユリアを可愛く、いや綺麗に飾る。
ユリアはベッドに倒れた俺に覆いかぶさるように抱きついた。
「…ユリア」
「あのね…フレン」
震える小さな声。
柔らかくて暖かいユリアの身体。
俺の鼻をくすぐるユリアの香り。
全てを表すなら“愛しい”があっている。
「私ね……フレン……が……―」
ユリアはいいかけて瞳を閉じて眠りについた。
柔らかいユリアの髪が俺の指に絡む。
俺にとってユリアは宝物。
かけがえのない人物。
失えない人。
「ユリア…」
その、透き通った肌も、柔らかい髪も、フニフニした身体も、潤んだ目も、温かい唇も全て…。
「…好きだ……」
ユリアを横に持っていき、閉じた瞳にキスをした。
そして、髪、手、頬にも。
そして、ユリアの温かい唇にも…。
この夜は俺にとって忘れられない夜になった…。