shining☆moon‐私の王子様‐
「オクターフィルゾン!」
ゴゴゴゴゴッ…―
ユリアのかけ声と共に地面から大きな盾が出た。
「甘いな…!!」
今は俺とユリアの一対一の勝負。
いや、実戦に備えての特訓をしている。
俺がユリアに教えた魔法を、ユリアが自己判断をして本番に生かせるかの練習。
…それにしても……。
「魔剣…、光凜花!!」
ユリアの手元はスカイブルーに輝き、ダイヤモンドのようなキラキラしたものがチラホラきらめく。
そして“光の剣”と言われてもおかしくない、光の剣がユリアの手元にある。
一本の長い剣だ。
それにしても、ユリアがこんなに強いとは油断していた。
カンッ…カンッ…―
カキンッ…―
剣がぶつかり合う音が訓練室に響く。
運が良く、俺たちしかいないから広々使える。
「…テイクイーズ!」
「しまった…!」
空間が歪む。
ユリアが速く動いて良く見えない。
俺の動きが鈍くなり、うまく動けない。
今は仲間じゃないって認識してるんだな。
歪んだ空間の中でユリアが魔法を唱えた。
「ソウルスラッシュ!」
「うわっ」
かけ声と共にユリアは横に剣を振り、花吹雪を起こす。
ソウルスラッシュは俺が教えた中でも一番相手にダメージをくらわせ、傷をつける大技。
パシュパシュ…―
ヒラヒラと肌に当たる鋭い花弁。
鈍る空間が普通に戻り俺は自由を手にいれたが、ユリアに完敗した。
まぁ、手加減はしたけどユリアの魔法や剣さばきは結構な強者だった。
「…あれ?」
俺は自分の身体に傷がついていない事がわかる。
なぜだ?
ソウルスラッシュは相手を攻撃するのに一番有利な技で強い技なのに…。
ユリアがニコニコして近寄る。
「わざとだよ。だってフレンは敵じゃないもん」
ユリアの顔には優しい笑顔。
なんか久しぶりに見たような気もした。
「フレンは私の味方だもんね!」
宝石より光輝き、どんな世界遺産より綺麗で美しい、ユリアの笑顔は俺にとって何よりも大事な宝物。
だから大切にしなくちゃ。
俺は立ち上がりユリアの頭をなでた。
「フレン、なんか誰かが見てるよ」
「あれは置物だ」
ユリアが見て言ったのは、赤い服をきた女性のマネキンだった。