shining☆moon‐私の王子様‐
~~レオ.said~~
船が揺れたと思って部屋から出てきたけど…。
外に出てきたら、なんなんだよ……。
今一番、ううん、この世で一番会いたくない奴がいた。
そう……。そいつは…。
「…ヴィンセント…シュナイザー……!」
身体の芯から、憎しみ、恨み、殺意が芽生える。
とてもじゃないけど、いい気分だとは言えない。
真っ青な顔がもともと不気味なのに、よりヴィンセントを不気味に、不健康のように飾る。
「……っ…!!!」
ふとヴィンセントを見たら真横の海面に赤黒いものが浮かんでいるのに気づく。
それと、ヴィンセントの足元には飛び散った水溜まりのような血痕がある。
それを見て泣くユリアを抱き締めるフレン。
フレンはヴィンセントを強く睨み、互いを恨みあっている。
僕の足はぶるぶる震えていた。
何故?
それは、怖いからだ。
いくら僕がスーパークラスでも、敵わない相手だ。
「…さぁ、始めようか」
ヴィンセントが両手を盛大に上げ赤黒い目を細めて笑い、口を開けた。
空気が揺れる。
緊張が高まり、ゾッとする。
「…長年のライバルよ!!お前とその仲間の死が見えるなぁっ!!」
「…っく…!!」
ヴィンセントが右手を挙げたら背後にいたゾルヴァーナ王国の兵士と魔術師たちが勢いよく客船に入ってきた。
客船の人々は騒ぎ、逃げていく。
魔法や剣などで次々にやられる人達。
僕は我慢できなかった。
罪のない人を無差別に殺すなんて…!!
レオは飛び出し、フレンの場所へ向かう。
「…レオ…っ!」
「…ごめん、遅くなった…!」
フレンはびっくりした様子で僕にいいかけた後、広速球で飛んでくる果物ナイフを剣で跳ね返した。
カンッ…―
僕とフレンとユリアは三人で背中を合わせて周囲を警戒した。
「どうするの?」
ユリアが言った。
「どーもこーもねぇだろ」
フレンが冷静に敵から受ける攻撃を阻止し、斬っていく。
そしてまた背中を合わせる。
僕は口を歪ませ、決心した。
「まずはこの兵士達を片付けようか」
「じゃあ、私はあの魔術師五人を…」
「できんのか!?」
ユリアの言葉にフレンが突っ込む。
「大丈夫、魔術師はユリアに任せようよ。僕とフレンはあの大量の兵士達をやろう」
「あぁ…!」
そうして僕達は攻撃しに行った。