shining☆moon‐私の王子様‐
~~フレン.said~~
「~っ!!なんて量だ!」
剣を振りながら汗を拭うレオ。
今の季節は冬だが動いている内は暑い。
来週はクリスマスっていうのに、こんなことになるなんて…。
まぁ前から分かっていたことなのに今に限ってなんかイラ立ちが……。
……クリスマスはユリアとゆっくり過ごしたかったのに…。
運が悪いな。
積み重なった兵士達の輪が俺とレオを囲む。
壁のように高く積んでいっている。
「ユリア…、大丈夫かな……」
レオがポツリと呟いた。
確かにそうだ。
まだ実践の為の特訓が足りないからな…。
「そうだな。…あいつきっと……」
『……フレン…』
――――!!
確かに聞こえたユリアの心の声。
まさかと思うが少し涙混じりの声だった。
一気にユリアが心配になっていく自分に気づく。
気が付けば俺の頭はユリアでいっぱいになっていた。
「レオ、シフトで高く飛んで」
「とうとうあれをする気か。いいよ」
と、言うとレオはシフトど高く飛んでいった。
俺は深呼吸をして兵士たちを睨み付けた。
足元には結界がはられた。
「……ハリケーンクラッシュ…!!!」
俺の掛け声と共に何処からか風が吹き始め、大きな竜巻をつくった。
勢いよく回る風は触れると傷が着く、カッターのような風である。
その竜巻に巻き込まれた大量の兵士達は次々と高くそびえ立ち、切り傷がついて床に落ちて山積みになっていく。
俺は兵士達の残骸を通りこし、すぐさまユリアの元へ行こうとした。
「…ユリア…?」
そこにはユリアがいた。
三人の兵士に取り押さえられて一人の兵士に剣を突き付けられていた。
ユリアは俺に気づいたのか潤んだ目を見開き、俺を見つめた。
今にも溢れそうな涙。
それで濡れたまつげ。
……許さない…。
ユリアにこんなことをさせた兵士達。
俺は首をポキポキならし、近づいていった。
「来るなっ!」
剣を突き付けている兵士が言った。
少し怯えた様子。
俺が怖いか?
……まぁ、少しでも恐怖を味わってもらわないとな。
俺の大切なユリアを泣かせたんだからっ…!!
「……ちょっとお前等に悪夢ってもんを見せてやる………!」
俺は目を細めブラックオーラ全開の笑みをし、兵士達に忠告してやった。