shining☆moon‐私の王子様‐


俺は目を瞑り、想像した。
俺が持つ魔法の使い魔を。
使い魔は黒い毛皮をした馬で頭部には長く鋭い角が生えて、いわゆるユニコーンだ。

目を開き兵士達を睨んだ。

「バッドイリュージョン」

足元には結界がはられ、足元の影は伸びていき、俺とユリアと兵士三人を囲むように影はドームをつくる。
辺りは何も見えない程に真っ暗になった。

「なっ…なんだよ…!!」

1人の兵士が怯えた声で喘ぐ。
ユリアはこの暗さに驚いているのか、目が泳ぎアタフタしている。
まぁ、俺は普通に見えるから問題ない。
誰がどんな動きをしているのかすぐわかる。
……それにしてもユリア…。
ジタバタしていて。

「…かわいぃ……」



……。
………。

………。

―――――!?


なっ何言ってんだ!?
俺は!!

ユリアと兵士達が一斉に俺を見た。
とは言っても、みんなただ声がしたからその方向を見ただけだけど。
ユリアの顔は少し赤くなっていた。

……とりあえず。
今はユリアを助けなきゃな。

俺は目をまた瞑り頭の中で囁く。


『イアル、俺に力を貸してくれないか』

『久しいな我が主、フレンよ。良いだろう。そなたの頼み引き受けた』


俺は目を開いた。
足元の結界から回るように風が起こり、髪をなびかせる。


ビシャーーンッ…―

上から雷が落っこちて来たかのように稲妻が足元に落ちた。
兵士達はビクビクと震えながら床に倒れこむ。
ユリアはただ唖然としていた。


コト…コト…コ…―


落ちた稲妻から音が聞こえる。

『久しぶりの登場だな』

「本当だよ」

イアルだ。
イアルは悪夢の使い魔だ。
暗い空間でしか使えない、大変貴重な13星魔なのだ。
まぁ、イアルは“大4最強使い魔”の一匹だけど。
13星魔というのは、世界で数少ない使い魔ということだ。
ちなみにイアルは一度ヴィンセントととの喧嘩でしか使ったことがない。
喧嘩といっても何百回もしたけど。

俺はユリアの方に向かった。
ユリアはこの状況についてって行けてないらしい。
ポカーンと口を開いたまま固まっている。


「ユリア、大丈夫か?」

「フレン…!?……よかったぁ」

「立てるか?」

「あ、うん…よいしょ…」

すると兵士達が何か叫び始めた。
どうやらイアルの攻撃が始まったらしい。
イアルの攻撃は精神的ダメージをくらわせて、ゆっくり痛めつけていくという恐ろしい技をしてくる。


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