shining☆moon‐私の王子様‐
歩くこと数分。
周りは木に囲まれていて暗くなる。
とはいったものの今はお昼過ぎになっている。
お腹すいた、そんな感情は生まれなかった。
フレンは立ち止まり剣をだした。
「…どうしたの…」
「…」
「敵がいるんだよ、ユリア」
レオが私の質問に答えてくれた。
フレンは私に背を向けていて応答すらしてくれなかった。
フレン…。
すると木の陰や、空、背後から忍者のような忍が姿を見せた。
「…魔剣…光凜花……」
ポツリと呟くと左手には剣。
これはフレンに教えてもらったもの。
分かりやすく、優しく、時には厳しかったフレンの授業。
私は嫌だったけどフレンの方がきっと嫌だったと思う。
フレンが機嫌が悪いのは珍しいことじゃない。
だけど……。
―――――!?
ってかなんで私こんなにフレンを気にしてるわけ!?
べっ別に怒ってればいいじゃん!
私には関係ないんだから!
私はうつむいていた顔を上げ、フレンを見上げた。
「…ぁ……」
「全部丸聞こえなんですけど」
呆れたような顔つきで私を見たフレン。
そしていつものように私の頭を撫で、笑顔を向けた。
ずるい。
フレンはいつもそう。
私が不安でしかたない時、それを察しているかは知らないけど、フレンが私に微笑むだけで私の心は一瞬にしてフレン一色に染まらせてくる。
「行くぞ」
フレンの掛け声と共に私達は目の前にいる忍達に襲いかかった。