shining☆moon‐私の王子様‐
ドキドキするこの時間。
何もかも忘れてしまいそうなフレンの綺麗すぎる顔。
このまま時間が止まればいいのに……。
お互いに確かめるように見つめて、黙り込む。
そしてその沈黙に割り込んで来たのはレオだった。
「…ユリア…!」
レオは私の腕を掴みぐいっと引っ張った。
繋いでいた私の手とフレンの手がパッと離れた。
私はレオの腕の中にスッポリはまっていた。
「…レ……」
「フレン、僕やっぱり無理」
……無理?
何が…?
レオの腕は徐々に力が強くなり私をぎゅうっと締め付ける。
「レオ…お前…」
「今さらだけど僕……」
ドクッ…―
ドクン…ッ……―
レオの胸から聞こえるかすかな鼓動。
その鼓動は決して正常なものじゃなく、細かく激しく音を立てる鼓動だった。
「……」
「ちょっ…っレオ…レオ…っ!!」
レオは私の手を引き、走った。
後ろにいるに視線を移したが……、フレンは私に背を向け、その場を動こうとはしなかった。
フレン……。
気持ちがだんだん不安になってくる。
本当に私の気持ちがフレンに届いているのかな。
こんなにもフレンを想っているのに。
フレンと傍にいたいのに。
私はレオに手を引かれ、木々がしげる林の奥へと進む。
レオは何を考えているの!?
周りは木々の影で暗くなっていく。
光があると言えば、木と木の間に差し込むうっすらとした光の筋だけ。
ますます不安が心に刻まれていく。
フレンを見つめたい。
フレンに触れたい。
フレンと離れたくない。
傍にいたい。
まるで私の身体と心はフレンで飢えているように、私の全てがフレンを求める。
……このこともフレンに聞こえているのかな…?
聞こえているよね。
むしろ聞こえていてほしい。
ねぇ、聞こえてるの?
私の想いが……。
私とレオは深い深い林に進んで行った。
これから起こる残酷な事が起こることを知らずに……。