shining☆moon‐私の王子様‐
~~フレン.said~~
「……」
レオがユリアを連れ去った。
俺の胸と手からはユリアの温もりは消えてこの冬の寒さに飲み込まれ冷えようとする。
潤んだユリアの目が頭から離れない。
もうユリアとレオの姿が目の前から消えた。
このままユリアをレオの元へ置いといていいのだろうか。
そういえばレオはユリアが好きだ。
だからむしろ不安になる。
ユリアにもしものことがあったらどうしよう。
もしあのキスが嘘ならばレオが好きになるだろう。
………そんなの嫌だ。
いつからだろうか。
俺がこんなに独占欲が生まれたのは。
気がつけばユリアの事ばっか考えてて、自分をコントロールできなくなってる。
……これもユリアが好きすぎるからだな。きっと。
「…!!」
待て。
今はゾルヴァーナ王国との戦いだったような……。
…こんなことをしてる場合じゃない。
一刻も早く、レオ達を追わなくては……二人が危ない。
俺は頭をくしゃくしゃにかいたあと、右足を前に一歩出した。
すると後ろから物音がした。
カサカサ…―
雑草が誰かの足によって音を奏でた。
その音はだんだんと近くなり、あと少しの所で音は消えた。
誰だ…。
剣を片手に持ち、勢いよく後ろを向き剣を突きつけた。
そこには両手を上げた……。
「…クロード?」
「遅くなったよ、フレン」
大量の兵士と魔術師と獣を連れてきたクロードがいた。
穏やかな顔をしたクロードが頂点に立つくらいのリーダーをしていると思うと、不思議でしょうがない。
「お~い、聞こえてるッつーの」
俺たち家族は人の思っていることが読み取ることができるんだ。
「あ、わりぃ」
それもそれで困るけど。
クロードは周りをキョロキョロ見て、俺をマジマジ見てきた。
「なんだよ……」
「…いやぁ…、なんでも…」
クロードは何か難しい顔をした。
するとクロードの後ろにいる獣達が一斉にうなりはじめた。
グワォォン…―
キュウ…―
クロードは後ろを向き獣使いに言った。
「どうかしたのか?」
獣使いは獣の頬に耳をあてはじめた。
そして獣使いはクロードの顔を見て口を開いた。
その声は耳が痛くなるぐらいキーキーする声だった。
「……血の…匂い…する…ら……しい…」
「血の匂い…?」
「……はい…」
俺とクロードは顔を見合わせた。