shining☆moon‐私の王子様‐


「ぐあぁぁぁあ!!!……」


――――!?


誰かの叫び声がした。
少し低めな声……男の人の声だ。
その声に俺たちは立ちつくす。
少し顔から血が引くのがわかった。
多分今頃顔が真っ青になってると思う。
俺は恐る恐る静まり返った空間で口を開いた。

「…なんだ、今の……」

「……血の匂いって…、まさか……」

血の匂い…?
叫び声………。

「……ッ!!」


……ヴィンセント…。

こいつしかいない。
ってか、いないことを願う。

「……ヴィンセント………シュナイザー………」

1人の獣使いが喋りだした。
同じくキーキーした声で隣の獣使いも同じ言葉を呟いた。

「…まだ決まった訳じゃないだろ……?」

二人の獣使いはコクンと頷いた。

だけど……。
俺にもヴィンセントとしか考えられない。
きっと血に飢えたからだと思う。
だから……。


「フレン。そう言えばユリアは…?」

「え……?」

ユリアは…。
レオと手を繋いで何処かに…。

クロードは目を見開いた。
多分俺の心を読んだからだろう。
クロードは俺の肩をガシッと掴み揺さぶった。

「んだよ…!離せって!」

「なんで行かせたんだよ!!」

「はぁ…?」


クロードは恐ろしいものを見たような顔をして俺を睨んだ。
少し潤んだ目をして俺に訴えた。

「…ユリア…が、危ないだろーが!!!!!」


――――!!

久しぶりに聞いたクロードの怒鳴り声。
クロードの後ろにずらっといるセヴィア王国の兵達はビクッとして黙る。


「……っ…」

俺も久しぶりの事だったから声が出なかった。
ただただ唖然としていた。


「…ユリアはどっちに行った……」

俺は口を開かずに、ユリアとレオが行った方向に指をさした。
すると血の匂いがする方向と全く一緒だった。

「…ユリア……」

クロードは俺から手を離してユリア達が行った方向を見た。

クロード…。

その目は力強そうだけど、何処かしら切ない目だった。

俺は右手に拳を作り、ぎゅっと力を入れた。
俺が守るって言ったのに…。
守らないでどうするんだよ。

俺はクロードの背中をポンっと叩いた。

「痛っ」

「ユリアを探しに…助けに行こう」


俺はクロードをみて微笑んだ。
それを見てクロードも微笑んむ。


「そうだよなっ!!」


そして俺とクロードはユリアを探しに行った。

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