shining☆moon‐私の王子様‐
~~ユリア.said~~
レオに手を引かれたまま奥へ奥へと進んでいった。
徐々に強くなるレオの手。
少し汗ばんでいく手。
そして頭に思い浮かぶのはフレンの顔だった。
私は振り返り自分が来た方向を見つめた。
もうフレンが見えないってわかってた。
わかってたのに、期待している自分がいた。
期待しちゃ…いけないんだ……。
私は今までを思い出す。
なんでだろう。
どうして今までを振り返っているの?
私の心は疑問と共に不安と恐怖があった。
何故だかもう、フレンと会えない気がした。
なんで会えない気がするの?
…だけどその答えの続きは考えたくなかった。
どうして?
それも考えたくない……。
………怖く……なるから…。
私がそんな事を考えていたら急にレオがピタッと止まった。
私はレオの後ろ姿を見つめた。
「どうしたの?」
「…」
レオは黙ったままだった。
私はレオから手を払いレオの前に立った。
「ねぇ!…レオ…!?」
「…血の匂いが……しない……?」
「血の……匂い………?」
「………う…ん……」
私の背筋はゾッとなり、ゴクッと喉を鳴らした。
私はまさかと思い大きく息を吸った。
――――!!!
鼻の奥がつんッとするのがわかった。
まるで鉄の匂いと全く一緒で………。
「ぐあぁぁぁあ!!!……」
――――!?
私とレオはお互いビクッとして顔を見合わせた。
急に体が震えだす。
「……何…今の…?」
「…わ……からない……」
とりあえず、私とレオは声がした方と反対側の向きの木の影に隠れながら声がした方向へゆっくり歩き出した。
「……なんなの?……」
「……ユリア…静かに…」
「……ごめん…」
木から木へ移りながら近寄って見ると、そこには何もなくそこだけがポッコリ何かが落ちたんじゃないかってくらいに雑草がなければ木もない。
私達はそこをキョロキョロと見た…………ら。
ジュル…―
ピチャピチャ…ッ…―
ビシャッ…ピトピト…―
――――!!
人が人の首に噛みつき、不吉な音を立てながら………血を吸っていた。
“吸う”って言うより“むさぼる”の方ががあっているだろう。
「……っ…!!」
首からは大量の血液が出ていて、血を吸う人の口元は真っ赤になっていた。
地面にも水溜まりのような血液。
多分そこから血の匂いは充満していったのだろう…。