shining☆moon‐私の王子様‐
どうして血を吸うのだろうか。
私は不信に思った。
血を吸うとしたら吸血鬼ぐらいだよね……。
吸血鬼………。
私はハッとして血を吸う人の顔を見ようとした。
バレないように体をくねくねしながら一生懸命に顔を見ようとしていた。
「……何してるの…?」
レオが奇妙な動きをしている私に問いかけてきた。
「…血を吸ってるんだよ!そいつの顔をみないとじゃない!?………もしかしたらヴィンセントだったり…」
「……」
レオの顔からは血の気がなくなり、青ざめた。
面白いなぁ。
ただ面白半分で言っただけなのにさ。
……面白半分で言っただけなのに…………。
やっと見えたその顔。
何回か会ったことがある人物。
透き通るような白い肌。
真っ黒いツヤツヤした髪。
そして何より……血液のような赤黒い瞳。
「……ヴィンセント…シュナイザー………」
私の心臓は太鼓のばちで叩かれたように高鳴った。
身体中の肌はピリピリと神経が敏感になる。
“怖い”
というより、
“恐ろしい”
この言葉がぴったりだ。
レオもヴィンセントだってことがわかったらしく、木に貼りつくように身を隠した。
「……な……何怖がって…るの……レオったら……」
「………ユリア……こそ…」
私とレオは顔を見合わせ苦笑した。
笑い事じゃないけど、今私達にできることはただただ笑うことしかできなかった。