shining☆moon‐私の王子様‐
~~フレン.said~~
木々が多く茂る中、俺とクロードとセヴィア王国の兵たちと風のように駆け巡った。
さらに強くなる血の匂いを頼りに、先へ進んでいった。
目指す場所はただひとつ。
ユリアの場所。
もちろん血の匂いの正体も知りたい。
だけどユリアの安全が最優先。
でも……。
もしこの血の匂いの正体がユリアだったら……。
俺は何回も最悪を思い浮かべてしまう。
「…ユリアなら平気だよ。フレン……」
「だけど……!!」
「ユリアを信じろ…!」
――――!!
俺の足はピタッと止まる。
信じる………。
ユリアを信じる…?
できれば信じたい。
この血の匂いがユリアの血の匂いじゃないってことを。
だけど……。
俺の肩は小刻みに震えた。
自分が弱く脆(もろ)く感じる。
なぜだろう……。
どうしてこんなに…臆病になるんだろうか。
確かに人間は大切なものが出来るとそれが弱味にもなる、と聞いたことがある。
……それがこういう事なのか…?
俺の手を優しく触る手。
一瞬、ユリアと期待してしまう。
俺はユリアなしには生きていられない、そう思った。
「…大丈夫だ。ユリアはきっと、いや、絶対に生きてる」
「……」
俺はうつむいた。
そしてユリアの無邪気なあの笑顔を思い出す。
大丈夫、大丈夫だ。
ユリアは絶対生きてる。
俺は少し勇気が出た気がした。
木と木の間から差し込む光が少なくなり、夜へと近づいていく。
冬の冷たい風が俺の頬をかすめる。
「行こう」
俺は決意した。
「そうこなくっちゃな」
ユリアが待ってる。
いや待ってるかどうかはわからないけど、きっと待ってる。
待っていてくれ。
今行くから。
助けに行くから。
少し悔しいけど、レオの傍にいて?
俺は足を急がせる。
もし、あのキスが、ユリアが俺にしてくれたあのキスが本当なら、俺のこと待っていてくれるよね…?
……レオのこと好きにならないで…?
…俺だけを見て…?
薄暗い林を走っていたら目の前に二人ぐらいの人影が見えた。
一度ユリア達だと期待していた。
「…リダアース!!??」
俺は直ぐ様リダアースに近寄る。
リダアースの顔は険しく、どこか切ない顔をしていた。
だが、一番はやく目に入ったのは、傷だらけの黒いマントに身を包んだ一人の男の子だ。
「…リダアース、この人は…?」