shining☆moon‐私の王子様‐
クロードも俺に続きリダアースに問いかけた。
「……じぃさん、こいつは?」
クロードはリダアースのことを“じぃさん”と呼んでいる。
俺とクロードはリダアースの応答してくれるのを待っていた。
すると傷だらけの男の子が口を歪ませ、不気味な笑みを浮かべた。
「…所詮、お前らセヴィアの分際は僕達ゾルヴァーナには勝てないんだよ……!!」
傷だらけの男の子の声は薄暗い林の中虚しく響いた。
「アッハッハッハーー!!!」
「…黙れ」
リダアースの頭には血管が浮き出る。
そこがピクピク動きいかにも機嫌が悪いとわかる。
だけど……。
なぜだろう。
クロードの方から恐ろしいくらいに強力な魔力を感じる……。
誰だ……!
誰なんだ……。
俺はキョロキョロと身近にいる人達を見回す。
特に強そうな人はいない。
いるとしたら、クロード、リダアース、傷だらけの怪しい男の子、セヴィアの軍隊、そして俺ぐらい。
それか遠いところにいる人の魔力なのか…?
でもそしたら…!
どんだけ強力な魔力の持ち主なんだよ。
俺は少しの冷や汗をかいた。
するとまた傷だらけの男の子は口を大きく開け、高笑いした。
「お前らなんかヴィンセント様に…殺されちゃえばいいんだッ!!!!!」
「…黙れと言ってるのが聞こえないのかッ!!」
ビリッ…―!!
バリバリッ!!……―
傷だらけの男の子の首もとの服をつかんだリダアースの手から、黄色く光り稲妻のように音を立てた魔法が傷だらけの男の子を包み込むように全身に行き渡った。
薄暗いこの林の中、この場所だけが目を眩ますように眩しく光り輝いた。
男の子の叫び声か笑い声かわからない声が稲妻の音と共に響き渡った。
だんだんその光りも弱まり、リダアースの魔法は止まった。
男の子の身体はまた新しく傷がつく。
息が荒れて男の子は大人しくなった。
きっとさっき初めて見たこの男の子が傷だらけだったのは、さっきも言っていたように仲間を侮辱する発言をしたからリダアースは魔法を使っていたのだろう。
そうだ。
まだリダアースの応答を聞いてなかったよな。
「リダアース、この男の子は…?」
するとリダアースは何か気難しい顔をした。
「……こやつは、ユリア様がいた人間界の住人じゃ…」
「……なんだと…?」
クロードは青ざめた顔をした。
それもそのはず。
…一体どうやって……。