shining☆moon‐私の王子様‐
「…一体どうやってこの世界に来たんだよ…」
俺より先にクロードが口を開いた。
まぁ、そのことも気になるが、俺はこの近くにある強力な魔力の正体を知りたい。
俺は目をつぶり、魔力の正体を探っていた。
その頃、クロードはリダアースと男の子のことで話していた。
「…誰が、なんのために……」
クロードが悔しげな口調で呟く。
だけど俺は構わず耳だけ傾けていて、神経は魔力に集中させていた。
「…こいつはヴィンセント・シュナイザーに誘惑されたんだ」
「…誘惑?」
「あぁ、そうじゃ」
そしてまた会話は続いた。
「…ヴィンセントが人間界に行っていたことは知っておるな?」
「あぁ」
「それで――」
*********+。・
誰もいない、深夜の公園。
男の子は1人、ブランコに乗っていた。
「…なんで僕だけ…」
彼の名は、本田嵩。
勉強に追われ、友人にも避けられ、親に嫌味つつかれて、何もかもが嫌になっていた。
本田の心、瞳、未来、全てが真っ黒に染まった頃事件は起きた。
「君、いい目をしているね」
「だッ誰だ…!!!」
何時しか本田の目の前には人の姿と、猫の姿。
本田はブランコから降りて後退りする。
「なぁに、心配することなんかないさ。……俺は君の仲間さ」
「……なか…ま…?」
「そうだ」
本田はピタッと止まり目の前の人を見た。
「我が名はヴィンセント・シュナイザー。君に俺のとっておきをくれてやろう」
「ぼっ僕は本田嵩。…ホントに味方なの…?」
「あぁ味方さ。もう君は1人じゃない」
「…1人じゃない……?」
本田はゆっくりゆっくりヴィンセントの方に足を運ぶ。
「あぁ、こっちへ来い。本田、お前に強力な魔法を授けよう。……君はもう怖いものなしだ。強くなれる。もう誰の言うことも聞かなくていい。自分の自由を手に入れようじゃないか!!」
「はい。ヴィンセント様………」
本田は黒い光に身を包まれた。
そして本田はヴィンセントの手によって“魔呪化語”の魔法を手に入れ、ヴィンセントの下についた。
********+。・
「――そして本田はヴィンセントと一緒にこっちの世界に来たというのじゃ…」
「…憂鬱だな……」
俺は目を開け、魔力探しを辞めて“あること”を思い出していた。
憂鬱……。
昔、誰かに言われた。
決していい思い出ではない“あれ”を…。