shining☆moon‐私の王子様‐
ユリアvs.ルイス
~~ユリア.said~~
「……いたぁッ…!!」
引きずるように倒れ込む私。
膝がすれてピリピリして痛い。
ルイスは風を斬るように容赦なく私に襲いかかる。
そしてまた……。
「きゃあッ!!…」
私は引きずるようにまた倒れ込む、その繰り返し。
徐々に増えていく傷。
「ユリア…!!!」
「…え?」
林の中から聞こえた、ちょうどいいぐらいの低さで聞き慣れた……、愛しい声。
「…フレン…?…フレン!!!」
私は無我夢中に叫んだ。
ルイスが私の目の前でピタッと止まり、目を丸くした。
「…フレン……だと…?」
涙混じりの震えた声で言った。
「ユリア!!」
フレンが林から走って来て、私をとっさに抱き締めた。
温かい……。
これが、これが……。
本当のフレンの温もり。
さっき、ずっと求めていた、フレンの温もり。
ジャスミンの香りが私の鼻をくすぐる。
「…フレン……」
私を抱き締めるフレンの背中にゆっくり腕を回した。
「……ユリア…」
お互いを確かめるように名前を呼び交わしたあと、お互いの顔を見つめあった。
見上げたフレンの顔のバックに無数の星と輝く満月が綺麗で凛としたフレンの顔が私の鼓動を速くする。
するとフレンの口から思わぬ言葉がでた。
「…ユリア?」
「ん…?」
フレンは首を少し斜めにかしげた。
「……ユリアにはルイスを倒せない…」
「え…」
フレンは下を向き、私を強く抱き締めていたいた腕を離した。
私の身体からフレンの温もりは一気に消えて、冬の冷たい風に吹き消されていった。
「……フレン…ロザフォース…」
ルイスが肩を震わせて私達を見つめながら口を開いていた。
ルイス……!!
私達を見つめるルイスの目は私が大好きなルイスの目だった。
「……ルイ…ス…?」
「…フレン・ロザフォース……!!うあぁぁぁあ!!!!!」
ルイスは私の言葉に耳を傾けもせず、剣を両手にフレンに襲いかかった。
「フレン…ッ…!!!!」