shining☆moon‐私の王子様‐
「もういいのか」
ルイスが私に問いかけた。
待っててくれたんだ。
やっぱりルイスだね。
そういう優しいところは変わらないね。
私は凜とした目でルイスを見つめた。
「うん」
私とルイスは身構えた。
しばらく沈黙が続いた。
先に動いたのはルイスだった。
「はぁぁぁぁああ!!!」
大声を張り上げて私に近づくルイス。
私は剣を前に出して守りの姿勢にはいった。
ガキンッ!…―
カンッ…―
ギリ……―
金属がぶつかり合う音がこの静かな夜、林の中に響き渡った。
私とルイスの顔は間近。
剣を押し付け合っている。
「ルイス…ッ……思い…出して…」
「私に思い出すものなど……、ないッ!!!!」
カンッ!!…―
「きゃっ」
ルイスがわたしの剣を押した。
私は後ろへ音をたて、流れていくように足元だけが引きずられる。
そして近くの木に勢いよく背中をぶつけた。
「あいたッ!!」
私は背中をさすった。
前を見たらまたルイスが宙を舞いながら私に襲いかかってくる。
私はとっさにその場を離れた。
ザクッ!……―
ガタンガタンッ…――
ルイスは勢いよく2本の長い剣が木を斬りつけた。
斬りつけた木は2つに別れて滑るように地面に落ちていく。
ルイスは斬りつけた勢いでしゃがみこむ。
ひいぃッ!!!
私…離れて良かったよ……ホントに!!
離れていなかったらどうなっていたか…。
私の顔は怖いぐらいに青ざめていった。
ルイスは立ち上がり、しばらくの間たったまま黙り込んだ。
………。
冷たい冬の風が髪をなびかせる。
「…」
「…」
…………。
…………。
…………。
……………………。
……き、気まずいッ…!!!
何なんだ!!
この「あぁ私、自然破壊しちゃったよ」的な空気は!!!
私はルイスに話しかけようとした。
だけど、私が口を開けようとした直後にルイスは首を少しこちらを向けて目で私をギロリと睨んだ。
私の知ってるルイスとは遥かに違いすぎる。
私の頬にうっすら汗が伝った。
「…ちょこまかと」
「…っ…!」
ルイスは身体をこっちに向けて目をつぶった。
その途端……。
ブワッ…―
ヒュルル……―
この夜の暗い風景の中、ルイスは眩しい光に包まれた。
私はその眩しさに目を眩ませた。
開いたルイスの目はスカイブルーに光り輝いていた。
「来い、ユリア」
冷たい声でルイスは私を呼んだ。