shining☆moon‐私の王子様‐
レオの声は暗い林の中いっぱいに響いた。
「…ユリアが……」
レオはもう泣き崩れていて話している暇はなかった。
ユリアは……俺が好き…?
頭の中はユリアとのキスを描いた。
あのキスは……―――
本当のキス。
俺は下を向いた。
バカだったよ。
俺は。
ユリアの気持ちも知らないで、自分を被害者にしといてただユリアを悪くしてきた。
だけど違ったね。
俺はそっとレオの頭を撫でた。
「…レオわかったよ」
さようならの意味、わかったよ。
ユリアは俺に心配かけたくなかった。
俺に危害を加えたくなかった。
もし、死にそうになったとき切なくなるから。
……それと…。
ユリアは俺が好きだから。
そう思って…信じて良いんだよな。
「…そうだよフレン。やっとわかったか……」
クロードは俺の心の声を聞きつけ俺にそっと笑いかけた。
その懐かしさに目が熱くなった。
「あぁ…だから…」
俺を掴むセヴィアの軍隊の手は離れ、俺は自由を手にいれた。
俺はその場に起立した。
ユリアはいま頑張って戦っている。
俺はそのユリアの頑張りを無駄にしたくない。
「だから俺は……!!」
すると何処からか冷たい風が吹いてきた。
冬の風でではない。
何やら冷たく冷的な風だった。
「何だ!?」
クロードは叫んだ。
「クロード様ッ!!目の前に人影が……ぐはっ!!」
クロードに報告しにきた兵が何者かに背中を殺られた。
そして背中から血を吹き出し目の前で倒れた。
クロードはその兵を見たあと犯人を見た。
「誰だッ!!」
クロードは涙ながらに叫んだ。
レオは泣き止み、俺の隣に並んだ。
俺はクロードにつられてその黒い影に言いかけた。
「おい、何処のどいつは知らないけど俺達は暇じゃないんだよ」
黒い影は俺達に近づいてきた。
そしてとうとう正体をあかした。
「「「…っ!!」」」