shining☆moon‐私の王子様‐
俺は頭をくしゃっとかいた。
「つまりな、お前には使い魔を使う程の力はないんだよ」
「…ぇ…」
「あと…!」
俺はかがんでラディーの胸ぐらを掴んだ。
そして揺さぶりながら話を続ける。
「…あの時、どうして居なくなったんだよ!!」
「だから、あれは俺がゾルヴァーナの住人だからだよ!!」
「だからなんだっていうんだ!!!」
「…」
ラディーは口を開け、眉をひそめて俺を見た。
俺は納得いかないんだよ。
あの時、ラディーが言ったことが。
いつもなら、俺達なんかに関係ねぇよ、ぐらいの事が言えるのに、こんな時に限って言わない事が。
「…俺は…、俺はずっとラディーと一緒に…居たかったのに……」
今にも消えそうな声で必死にラディーに訴える。
「レオ…、悪かった…」
「…俺はこの、ラディーとさよならした記憶を消そうとしてた。…だけど、だけどさっきグレイシアドラゴンの魔法の光に包まれた時、俺は自分の避けていた記憶、片隅にあった記憶を引っ張り出されたように、その記憶が立体的に写し出されたんだ……」
「…」
「俺達は……」
俺は少し切なそうな顔をしながらも、必死に微笑んで、ラディーを見つめた。
そしてラディーの胸ぐらを掴んでいた手を離した。
「…俺達はどんなに離れていても…大切な仲間だって…言ってた……」
その言葉にラディーの目からはキラキラと輝く宝石の粒が落ちていった。