shining☆moon‐私の王子様‐
決戦
~~フレン.said~~
月が西に沈んで行く。
もう月明かりも頼りにならなくなってきた。
「…まいったな」
クロードがポツリと呟いた。
「何がだ?」
「いや…これじゃあゾルヴァーナが有利になる」
確かに…。
ゾルヴァーナは暗闇の中での戦闘はかなりのお得意。
ゾルヴァーナは光がない国だからだ。
もし、もしもだけど、今俺達の目の前に…ヴィンセントが現れたら……。
考えるだけでゾッとする。
…だけど勝たなきゃいけないんだよな!
そうだ…。
そうだ……。
「はぁーー」
「なんだよフレン」
「ん?いや…別に…」
「そうだよフレン。溜め息なんて君らしくないよ」
――――!!??
俺とクロード以外の声がした。
俺達は急いで声の正体を確かめようとした。
……だけど…。
「く…かっ…身体が…動かない…!!!」
「…だれ…だよてめぇ…!!!」
まるで重力で身体が自由にできないように俺達は自由を奪われた。
声の正体を見る体勢にはなれなかった。
「誰だって?」
「…の…その声は…」
聞き覚えのある、昔からたくさん聞いていたあの声を…。
「俺はヴィンセント・シュナイザー様だよ。ロザフォース兄弟」
月は沈み闇に満ちた。
その闇の中に悪魔は姿を現した。