shining☆moon‐私の王子様‐
「フレン…」
俺の隣にいるクロードが今にも消えそうな小さな声で俺の名を呼んだ。
その声で俺の心は少し傷んだ。
大嫌いで大嫌いで仕方がなかった兄、周りの奴等に出来る兄と比べられ人には笑われ、見下され、散々な目に合ってきた。
本当に嫌いだった兄のほんの一言に俺は心を痛めた。
だけど俺はそんな感情を隠すように微笑みながら、
「クロード、ちょっとあっちに行っててくれないか」
と言った。
“怖い”
ヴィンセントと戦うのが。
“苦しい”
クロードの言葉が、俺の胸を締め付けてくるから。
「フレン…」
平気。
「クロード…速く」
大丈夫。
「…フレ…ン」
俺はクロードの声で黙り込む、
ヴィンセントはそんな俺達の姿を真剣な眼差しで見ている。
平気。
大丈夫。
そんな事……。
思ってる訳がない。
だけど俺は…勝つ。
………だって…。
【私はフレンが大好きです】
俺にはユリアがいる。
仲間がいる。
“大好き”
その言葉は俺の心を強くする。
どんなピンチでも大丈夫になる。
乗り越えられる気がする。
…だから。
「俺は勝つよ」
俺は真剣な眼差しでクロードを見た。
クロードそれに返事をしたのか、その場を離れた。
「かっこいいじゃん。フレン」
「そりゃあどうも」
俺とヴィンセントはニヤっと笑いあった。
そしてお互いに地面を蹴り、ぶつかり合った。