shining☆moon‐私の王子様‐
~~フレン.said~~
「…っ」
「ダークネス」
ヴィンセントの魔法で俺は避ける。
ヴィンセントの魔法は人とは違い、独学で産み出した“悪”の魔法ばかり。
「さっきから避けてばっかじゃん」
「…ぅるせ」
俺は額の汗を袖で拭い、ヴィンセントを睨んだ。
冬だからといって汗をかかないわけもない。
確かに、俺はさっきからヴィンセントの攻撃を避けてばっりだった。
俺はさっきのヴィンセントの言葉に答えるように剣を抜き、ヴィンセントに向かっていった。
カンカン…―
キッカリンッ…―
キンッ…―
勇ましくぶつかり合う、二本の剣。
互いの顔を睨みながらも剣を押している。
「…っく」
ヴィンセントは少しキツそうな顔をした。
俺はその隙を見逃さなかった。
「アイスクラッシュ!!」
呼び掛けと共に俺はヴィンセントを押した。
ふらつくヴィンセントの頭の上には氷柱(つらら)のようなものが尖った先をヴィンセントに向け、一気に落ちていく。
「うわぁ!!」
ヴィンセントはビックリしたように、悲鳴を上げた。
アイスクラッシュはヴィンセント目掛けて落ちていった。
ズサササササッ!!!
凄まじい音。
音が止まったと思ったら、ヴィンセントは立ち上がり、フレンを見た。
…赤黒い目を輝かせて。
「…!?」
「…さて、俺も魔法をじゃんじゃん使おうかな」
そうヴィンセントが言うと、自分の足元に結界があるのに気づく。
…俺…魔法使ってないよな?
自分の結界じゃないのに、自分の足元に結界があった。
恐る恐る俺はヴィンセントを見た…ら、ヴィンセントはニタニタ笑っていた。
「デスブレイク」
俺の身体にはビリビリと電気が走った。
そしてチクチクと痛みが俺を襲った。
…抵抗できない。
「う゛あぁぁぁぁぁあ!!!!」
夜の静けさに歯向かうように、俺の声は響き渡った。