shining☆moon‐私の王子様‐
「な…なぜだ…」
「はっ…単純だろ」
ハハッと笑い俺は続けた。
「タイムループは受けた攻撃とかを未来に送る事ができる。いわゆる時空間移動かな?」
俺は悔しがるヴィンセントを見て悪戯っぽく笑う。
一方ヴィンセントは地面に爪を立てて仁王立ちするフレンを睨んだ。
俺は確信した。
…今ならヴィンセントを倒せる、と。
俺は真剣な眼差しをヴィンセントに見せてから呟いた。
「バッドイリュージョン」
「!!」
ヴィンセントは驚いた表情を見せた。
透き通るような白い肌が一瞬にして青ざめた。
そしてみるみる内に俺達は暗闇に飲み込まれた。
いくらゾルヴァーナの人でもこの光ひとつもない暗闇の中では身動きができないのだ。
「…イアル…か…、懐かしいな」
ヴィンセントが切なそうにポツリと呟いた。
俺はまた見てみぬふりをした。
そしたらイアルが現れ、俺の前に並んだ。
『フレン。こいつはヴィンセントか』
「そうだよ。イアル」
そういうと俺はイアルの頭を撫でた。
そして…。
「とどめだ。ヴィンセント…!!」
『行くぞ』
イアルは俺の合図でヴィンセントに襲いかかった。
―――――――……
ロゼッチュール城王室。
「なんだか胸騒ぎがします…」
女王様が胸を撫で下ろしながらポツリと呟く。
「私もです」「私もです」と周りにいた兵士らも女王様につられて胸を押さえた。
「…ユリア、どうか生きて…」
女王様は空を見ながら、口にした。
――まるで、女王様にはお見通しのように……。
―――――――……