shining☆moon‐私の王子様‐
~~ユリア.said~~
「はぁっ…はぁっ…はぁっ…!!」
暗闇の林の中を駆け巡る。
だけど、走っても、走っても、一向に変わらない景色。
それを悔しがりながら必死に走る。
「はぁっ…まっ…まだぁ!?」
ルイスが後ろで投げ掛けている。
疲れたからじゃない。
フレンに早く会いたいから。
…私と同じ気持ちなんだよね。
もう、ヴィンセントと戦ったのかな?
その勝負に勝った?負けた?
…勝つに…勝つに決まってるよね……!!!
私、信じるよ。
フレンの勝利を。
だって、フレンはエルランドで一番強いもんね。
だから勝つ。
フレンは絶対に………。
…………勝つんだよ……。
すると私達の目を疑うような事が起こった。
空に向かって放たれた赤い花火が、失敗したかのように下に落ちていった。
「…うそ…だろ…?」
「…い…いやぁあ!!」
驚いて言葉を無くすレオとその現状を刃向かうように絶叫するルイス。
そうなるのも、おかしくはないね。
だって……。
ラディーさんは目を閉じた。
「…フレン・ロザフォース、破れたり」
私の目から涙が流れた。
信じたくない。
だって、あのフレンが…フレンが…。
私は止めていた足を動かせた。
あのフレンが負けるなんて…。
私は早く行かなかったこの足を酷く睨んだ。
…足のせいじゃないね。
私自身が悪いんだ。
私は徐々に走るスピードを上げた。
すると目の前に人影が見えた。
そしてその人は私に気づいたのか、こっちを向いて微笑んだ。
私は「こいつがフレンをやったんだ」と確信した。
「…ヴィンセント・シュナイザー…!!!」
やっと辿り着いた、フレンの所。
私はフレンの居場所を確認する前にヴィンセントに跳びながら蹴りを入れようとした。
だけどヴィンセントにまんまと交わされて私は強く、ヴィンセントを睨んだ。
そして私は近くにフレンが居たことを確認して駆け寄った。