shining☆moon‐私の王子様‐
「…フレン!!」
私はフレンを抱き上げた。
擦り傷、切り傷がたくさんあるフレンの頬に手を当てた。
そしたらフレンのまぶたはピクリと動いて、うっすら目を開けた。
「フレン!」
「…ユリア…」
私は何故か懐かしくなるこのフレンの声を聞いて、目尻が熱くなるのを察した。
「…また、泣いてる……」
「…だ…だって……」
私の泣き顔をしてフレンは柔らかく微笑んだ。
震えるフレンの大きな手が伸び私の頬を包んだ。
私はすかさずその震えるフレンの大きな手を触った。
「…ごめんね…守って…あげられ……なくって…」
私は首を左右にふった。
私の目からは涙が次々と流れていく。
「ごめんねフレン、もっと…もっと早く来ていたら…フレンは傷つかずにすんだのに…」
フレンはダルそうにも身体を起き上がらせた。
私はその身体を支えながら、泣き続けた。
「フレン…大丈…」
フレンは私を抱きしめた。
程好いジャスミンの香りが心地好い。
「フレン…」
「…ユリア、俺もね…、俺もね…」
フレンは私の右耳で吐息混じりに、囁いた。
私はそのフレンの言葉を一文字も漏らさないように、一生懸命きいていた。
「俺もね…、ユリアが…大好き……です…」
私の涙は最高値までに達していた。
溢れる涙を押さえれない程、嬉しくて、嬉しくてたまらなかった。
まるで締め付けてあったひもが緩んだみたいに。
するとフレンは一端私を強く抱きしめたあと立ち上がった。
それにつられて私も立ち上がる。
「戦おう」
「うん」
私とフレンは目を合わせながら決心した。
ヴィンセントはそんな俺達を見てニヤニヤ笑う。
「…愛の力でパワーアップか…。まぁいい」
ヴィンセントはまんべんな笑みを私達に見せた。
「戦うのは俺とじゃなくて、“フレンとユリア令嬢”だ」
ヴィンセントがそう言うとフレンが苦しそうにうなり声を出した。
「フレン!?」
私はフレンに触った、が。
フレンは勢いよく私の手を振り払い、睨んできた。
「さぁ、始めようか!!愉快なパーティーを!!」
涙と一緒に、私の心に“悲しみ”が最高値まで達していた。