shining☆moon‐私の王子様‐
信じられない、信じたくない
~~ユリア.said~~
…え?
私はフレンに振り払らわれた手を見詰めて、フレンを見た。
「…っ…」
フレンの目は曇り、あるものを見下すような冷徹な目をしていた。
…フレンじゃない。
私は思った。
この人は誰…?
フレンという外見を持った…悪魔?
私は“フレンもどき”を見つめた。
私の頬に冷や汗が伝った。
するとヴィンセントは不気味な笑みを作り、私を見る。
「どうですか?ユリア令嬢。俺の最高傑作は」
私はヴィンセントの言葉に腹がたった。
「何よ!最高傑作って…!フレンを元に戻して!!」
私の声は虚しく響き、やがて暗闇に消えていく。
私はありったけの目力でヴィンセントを睨んだ。
「それは無理なお願いだなぁ」
ヴィンセントは目を細めて私を見下す。
どうしよう…。
私は周りを見渡す。
すると、クロードが居ることに気付いた。
クロードは気を失っていた。
「…クロード…」
私は…私は…。
誰に助けを求めれば……。
【ユリア】
フレン……。
私…どうすればいい?
「ユリア!!」
―――!!
突然、私を呼ぶ低い声が聞こえた。
それはさっきまで一緒にいたレオとラディーさんとルイスだった。
「なんだ…」
なんだ…、レオだったのか。
一瞬。
ほんの一瞬だけど。
目の前にいる“フレンもどき”とはまた別に、本物のフレンが私の名前を呼んだのかと期待していた。
レオ達はその場に立ち止まり、ヴィンセントを酷く睨んだ。
ヴィンセントは一瞬驚いた表情を見せたあと、無表情になった。
「…ラディー、とうとうお前も俺を裏切ったか」
「…」
ラディーさんも同様に、無表情でヴィンセントを眺める。
そしてラディーさんは溜め息を吐いた後口を開いた。
「…俺は、あんたの味方に付いた覚えはねぇけど?」
「…っ…!」
ラディーさんの言葉にヴィンセントは言葉を詰まらせた。
それを隠すように咳払いをすると、ニヤっと笑って声を上げた。
「まぁいい…。今から君たちには素晴らしい光景を見物して貰おう」
ヴィンセントがそう言うと、私の方を向き口角を上に上げた。
「ユリア・アリスレパードとフレン・ロザフォースの華麗な舞台を…!!!」