shining☆moon‐私の王子様‐
~~フレン.said~~
「ん…」
俺はヴィンセントに立ち向かおうとユリアと並んだ直後、意識が無くなった。
それで今目が覚めたんだ。
だけど……。
「ここはどこなんだ!?」
灰色の砂漠が広がっている。
太陽もなく、植物もない。
空も灰色で、何もかもが灰色で普段俺が見てきた彩りがあった景色とは全くの別物だ。
そこで俺は1人虚しく声を響かせているだけ。
「ユリア…」
響いた俺の声はある程度響いたら、まるで消えるようにまた無音の世界へと変わって行く。
今俺はどこにいるんだろうか。
ユリアはどこ?
ヴィンセント、クロードは?
リダアース、レオ、ルイスは?
…俺はどこかに飛ばされたんだよ…。
「くそっ……」
俺はクシャっと頭をかいた。
そしてその場にしゃがみこむ。
ユリアは今頃何をしているの?
笑ってる?
泣いてる?
苦しんでる?
ヴィンセントに何かされて辛い思いをしているの…?
俺は……、俺は何もしてあげれないのか…?
なぁ、ユリア。
教えて?
ユリアは何を思って、何を考えているのかを。
ユリアの声が聞きたい。
あの透き通った綺麗な声を。
俺はこの無彩色の中でただじっとしているだけしかできない。
なんて…なんて残酷なんだよ。
「…夢なら…夢なら早く覚めてくれよ…」
俺の声は静かに消え、目を閉じた。
――俺は夢の中でもっと最悪な夢を見ていた。
ボロボロになったユリアに剣を振るっている“俺”がいたこと。
それを笑いながら見ているヴィンセント。
苦しんでるルイスとレオ。
夢。
俺は“夢”っていう言葉に逃げていたのかな。
信じたくない光景。
信じられない真実。
それらから逃げたかっただけで何もできないただの弱虫だったよ。
ごめん。
ユリア。
傷つかせて。
ごめん。
ユリア。
辛い思いをさせて。
ごめん。
ユリア。
いっぱい泣かせて。
ごめん。
ごめん。
ごめんね。
ユリア。
君を幸せに出来なくて…。