shining☆moon‐私の王子様‐
再決戦そして “死”
~~ユリア.said~~
『俺とキスして頂けるならフレンをもとに戻しましょう』
さっきの言葉が頭の中を駆け巡る。
少し肌が強張り、私の思考はごちゃごちゃになっていた。
キス。
その一言で私は顔を赤く染める。
キスは誰でも出来る訳じゃない。
特定の人としか交わすことしかできない。
はずなのに。
「ほら…」
「…ひゃッ」
いつの間にかにヴィンセントは私の前にいた。
私はそれに気付かずヴィンセントの思う壺(つぼ)。
顎をクイッとあげてヴィンセントとぴったり目が合う。
「…綺麗な瞳ですね」
「…っ」
私はヴィンセントの念力をかけられたのか、身体が自分の言うことを聞いてくれない。
悔しいけど、ヴィンセントの言葉1つ1つが私の鼓動を鋭く跳ねさせる。
そんな私はきっとたった今真っ赤な顔をしてヴィンセントを睨んでいるだろう。
「顔……誘っているのですか?」
「ちっ…ちがうっ…てば!」
きっと否定する私を見てヴィンセントは動揺しているとしか見えないだろう。
ヴィンセントは私の隙をみて、素早く自分の腕を私の背中に回した。
私は目を大きく開けてヴィンセントをただ見ていた。
「…優しいのがお好みでしょうか。それとも激しく、過激なのがお好みですか?」
「どっちも…嫌…」
そう、嫌だ。
私はヴィンセントとなんかと、優しいキスも激しいキスもしたくない。
私は……。
私は息を飲んだ。
私が誰よりもキスをしたい人。
それは…。
「…私は…フレンとしか……キス、できないから」
私は間近にいるヴィンセントを睨んだ。
そして、何より横にいるフレンに意識を集中した。
私の今の言葉を聞いてフレンはどう思った?
気持ち悪い?
意味不明?
私はねフレンが思ってるほど素敵な人間じゃないけど。
誰よりもフレンを幸せにしたいって気持ちは大きいんだよ。
大好きなんだよ……。
「…生意気だね」
ヴィンセントのポツリと呟いた言葉は私の思考を狂わせた。