shining☆moon‐私の王子様‐
「死ぬんだな。セヴィア王国の姫よ」
本田君が剣を片手に芽唯に襲いかかる。
やだっ。
死にたくないよ…。
芽唯は目をつぶる。
そしたら何処からか人の声がした。
『我が下僕よ。殺すな』
本田君は立ち止まる。
驚いた顔をして、ひざまつく。
「何故です?殺すなら今がチャンスかと…」
『殺したらお前を殺す』
本田君は「はい」と言った。
片手の剣は砂のように消え、ザーザー降る雨の雨雲も一気に晴れていった。
本田君は立って芽唯に近づき芽唯のあごをクイっと上げた。
「…今回は見逃してやる。今度二人っきりになったら、迷わず殺してやる」
「……っ…!!」
芽唯は本田君の手を払い走って学校に行った。
なんなのなんなのなんなの!?
いきなり本田君と会ったら、魔法見たいの使っちゃってさ、しかも私を殺すーとか言っちゃって!!
しかも私が姫?
なんとか王国のお姫様?
ふざけたこと言わないでよね!!
もう嫌だ。
最近なんなのよ!
目眩はするし、毎回同じ夢を見るし、殺されかけるし…。
ああ、やだ。
そう言っている内に学校についてしまった。
なぜか今日は時間の流れが五倍に感じた。
気づけば放課後だった。
帰ろうとして立ち上がった時だった。
また目眩。
時間は止まり芽唯だけが動ける。
その時…、
『…欲しい、お主が欲しい…』
「…え…誰………」
どこからかかすれた低い声がする。
『…今すぐ欲しい…』
「どっ…どうして?!」
目の前には黒い影が見える。
赤い目のようなものもこちらを見ている。
大きなカラスみたいなものから声がする。
『…お前には強大な力がみなぎっている。…お前を殺し、私の物にすれば…その力が手に入る…だから欲しい…欲しい欲しい欲しい欲しいんだ…!!!!!』
黒い影が勢いよく私の方に両手を広げるように襲いかかってくる。
「いやあぁぁぁ!!!」
ドゴォォン……!!