shining☆moon‐私の王子様‐
~~フレン.said~~
ユリアが凄いことを言った。
赤黒くする魔法と、吸引力の魔法も俺達がクエストで探す幽霊屋敷の零呪の本の呪文だと。
なんとなく気が晴れた感じがしてスッキリした。
問題が解決するかのように。
「とりあえずレオとルイスが流してくれるのを待とう」
「う、うんっ」
フレンとユリアは海を見た。
赤黒い部分以外の海は夕陽の色に輝いていた。
空を見たら、泣けそうなくらいに鮮やかな夕陽が燃え盛る。
夕陽を見るユリアはいつもより大人っぽく見えたし、今にも泣きそうな潤んだ目で空に笑いかける。
いつもより……。
「あ、フレン。何か流れてきたよ!何だろう?タルかな?」
「でも、そう言えば吸引力の魔法がないと意味ない…よな」
「わかんないよ!?」
ユリアは真っ直ぐな目をして俺に言った。
偽りのない、真っ直ぐな目。
何の濁りのない、凛とした目。
ドクンッ―――…
勢い良く響く鼓動は今にもユリアに聞こえるくらい。
フレンは必死に両腕を胸にクロスする。
「そ、そそそそうだよなっ!?」
うまく舌がまわらない。
速くなる鼓動に動揺する自分に焦っていく。
流れてくるタルはフレン達の方にどんどん迫って来て、赤黒い部分の中心で止まった。
「止まった…」
フレンとユリアは唖然してタルを見る。
「フレン!ユリア!そこから離れろ!!!」
背後から聞こえるレオの声。
息を切らして走ってきた。
フレンはユリアを抱きしめしゃがむ。
バリバリッ……
バシャャャャンッ!!!
タルがバラバラに砕け、その破片は宙に舞う。
その音と共に赤黒い海が高く吹き出し、そこには人の形をした魔浪人(ゼムナス)が飛んできた。
「魔浪人が……こんなに…」
軽く50人を超えている。
魔浪人1人の強さはおよそ狼3匹程度だ。
さっきルイスは墓に埋められた人と言って言ってたよな!?
フレンはユリアの手を取り、レオとルイスと一緒に人が余りいない雑木林に入って行った。
魔浪人達は四人を追って走ってくる。