shining☆moon‐私の王子様‐
ジャキジャキと魔浪人を斬っていく。
斬られた魔浪人は血をドバドバ流し、と思ったら全然出てなくて斬ったところから砂に変わっていく。
魔浪人を斬っているルイスはいつもの可愛くて元気な様子とは正反対で、剣に集中した凛とした顔、鋭い目、長い髪をなびかせて素早い動きをして次々と魔浪人を斬っていく。
時々、剣先から黄色い火玉が魔浪人に飛んでいき砂に変わっていく。
「すごい……」
多分私が女の子だったら絶対に惹かれていたと思う。
だって、ギャップが違いすぎるよ。
キュンッとする笑顔のルイスが、今は凛とした表情で悪党を斬り裂いていくんだものっ!!
ドキドキと胸を躍ろかせている。
「ルイスはエルランドの女の子の中でもずば抜けて強いんだよ。僕もルイスを尊敬するぐらいだよ」
あとに続いてフレンも「俺も」と言い次々と砂に変化していく魔浪人を見ていた。
魔浪人って人工的に作ったものなのかな?
それとも元からこんな生物がいるのかな?
でもこの多さ……。
半端じゃないよね。
増殖したのかな?
…ってことは……。
人間が殺されてるってこと?
でもこの人達はお墓から来てるはず……。
「誰かが墓ごと海に沈めたんだな。きっと」
真剣な顔をしたフレンが私の心を読みますます真剣な顔をした。
真剣と言うより、深刻顔だった。
じゃ、じゃあさっきまで言ってた吸引力だの目の錯覚とちょっと違ってくる。
誰かが沈めたってことは、幽霊屋敷の本とは関係ないと言うことになる。
でも、引っかかるのは、赤黒い部分のことだ。
あれは幽霊屋敷の本の魔法なのだろうか。
「ねぇ、フレン」
「何?」
「私の考え…」
「あぁ、聞こえてた。ユリア、俺に着いてこい」
「え?」
フレンに腕を引っ張られ森の中に走って行った。
「レオ!俺ら幽霊屋敷行ってくるから」
「気をつけてー!!」
大きく手を振ると、シフトで飛んでった。
行き先は幽霊屋敷。