shining☆moon‐私の王子様‐
~~ユリア.said~~
屋敷の中は思ったよりも暗くてホコリ臭い匂いがした。
ドクッドクッドクッ――…
心臓の動きが速くなる。
暗くて何も見えない。
バタンッ――!!――…
ギクーーー!!
ドアが勢い良くしまった。
私は片手で胸を押さえ、はぁはぁと息が荒くなる。
怖い。
でも怖がっちゃだめだ。
繋いだ手に力が入った。
そうだよ。
私が怖がっていたらだめ。
「ユリ……ア…」
フレン。
大丈夫。
大丈夫だから。
私が守る。
私が守るから。
安心して。
ドクッドクッドクッ――…
怖さにガクガクする。
だめ。
怖くない。
怖くない。
手を引っ張られフレンの胸におさまった。
ドクッドクッドクッ――…
聞こえる鼓動。
フレンの鼓動だ。
怖さに怯えて速くなる鼓動。
腕に力が入った。
「フレン…一旦、戻ろう…?」
私はフレンの手を引き屋敷を出た。
私たちはレオ達の方に向かった。
「ユリア……ごめんな…」
「大丈夫だよ。みんなのところに戻ろう?」
私たちは森を駆け抜けて浜辺に行った。
フレンの手が急に重くなった。
「??、フレン……?」
繋いだ手がきつく締まり、フレンの顔を見上げた。
フレンは悲しい顔をしていた。
私は笑ってフレンを見つめた。
「大丈夫だよー!私はそんなの……」
「強がんなよっ!!!」
「へ…?」
「怖いなら怖いってちゃんと言えよ!!俺だってユリアを守りたいんだよ!!」
フレンは心配そうに私を見た。
私を、
私を心配してくれてたの…?
フレンは私に気を使って……。
でも、フレンだって怖いって……
「人のことより……自分のことを心配しろよ…」
「わ、私はフレンの方が一番に大事だから、フレンを心配するんだよっ!!」
私はフレンの力になりたいの。
フレンが怖いなら私が助けてあげる。
フレンが悲しいなら私がなぐさめてあげる。
フレンが困っていたら力になりたい。
だから、だから……
ギュッ――…
私はフレンに抱きしめられた。