shining☆moon‐私の王子様‐
「うん。不愉快だね。ヴインセント、貴方がねっ……!!」
緩くなったヴインセントの腕から離れて私はフレンに駆け寄る。
「フレン……、大丈夫…?今助けるからね…」
「ユリア……」
手を握るフレン。
フレンの瞳にはうっすらと涙が見える。
私とフレンは少しの間見つめ会う。
「ほんと、壊したくなるよね」
グイッ――…
ヴインセントが私の腕を勢い良く引っ張り無理矢理振り向かせる。
目の前にはヴインセントの顔。
え……?
キ、キス!?
あと数センチ……。
嫌だよ。
フレン………。
フレン…………。
「魔剣!!!氷風地崩!!!」
誰かの声がした。
黄色い光の筋が檻めがけて飛んでいく。
「フレン!!!」
ガジャーン――…
「え……?」
私は何者かに抱き抱えられ、空に跳んでいる。
それは誰だかというと……。
「レオ!!」
「ごめんね。待たせちゃった」
私はレオに抱きつく。
そしてありがとうと呟いた。
レオの表情なんか知らずに……。
「フレンは!?」
さっきの光……。
大丈夫なの!?
「ルイスがいるから大丈夫だ」
私たちは地上に戻るとルイスとフレンが駆け寄り四人揃った。
「フレンッ……」
私はフレンを抱きしめた。
痛かったよね。
辛かったよね。
苦しかったよね。
ごめんね。
こんな想いを込めて私はフレンを強く抱きしめた。
私の背中にフレンの手が回った。
ドキン――…
私は見上げてフレンを見た。
フレンは涙目で微笑み私を見つめた。
「ばかっ。……ありがとう」
「フレン…」
私も涙が出そうだよ。
早くエルランドに戻って傷の手当て、しよう?
気がつけばヴインセントは居なくなっていて、『零呪』の本だけがとりのとされていた。
「クエスト…終了、か」
「なんか、いろいろ大変だったね」
レオとルイスが今までを振り返った。
私の初クエストは、終わりを告げた。