shining☆moon‐私の王子様‐
「ちょっと…、待ってってば…っ!!」
ユリアはスタスタと暗い廊下を歩くフレンを追いかけ腕を掴んだ。
「は…なせっ……」
「い、嫌だっ…!!!」
ユリアはフレンの腕にしがみつき、ぎゅっと力を入れる。
どうして…?
どうして…?
どうしてフレンは怒っているの?
「…なんで、…なんで怒るの!?」
「…ユリアは俺の事なんかどうでもいいみたいに思ってんだろ!?」
「違うっ!!!!!」
ユリアの声は廊下に響き、フレンは絶句する。
私は…。
私は一度もフレンを必要じゃないって思ったことなんかないんだから…。
私はいつだってフレンを必要としてる。
誰よりもフレンを求めてる。
ねぇフレン。
これ、聞こえてるよね?
「あぁ、聞こえてるよ…」
フレンはそっとユリアを包み込み、抱きしめた。
フレンの声は優しくなり、真っ暗な廊下で不安だったけどただフレンの表情で一瞬にして不安が消えた。
「フレン…、うっ…うぅ……」
「泣くな…」
どうしてだろう…。
涙か止まらない。
からだが自動的に涙を出し、私の不安を消す。
フレンの胸の中は温かく、身も心も安らぎ、私を落ち着かせてくれる唯一の場所。
「…朝起きたら、ユリアが居なくて正直、焦った…」
「え…?」
そういえば私、倒れたんだっけ。
みんなに迷惑かけちゃったよ。
ルイスにもレオにもフレンにも…。
「迷惑なんて、どんどんかけろよ…。…昔はたくさんかけてたくせに」
「え!?嘘っ!!…かけてたの!?」
「本当、凄いくらい」
フレンは抱いていた腕をゆるめ、ユリアの腰に手を回し、ユリアの顔を見た。
「……俺のこと、ちゃんと見ろよ…」
「へ……?」
ドクン――…
真剣なフレンの表情でユリアの胸は高鳴った。
そしてフレンはユリアの手を引き、リダアースの館を出ていった。
その時リダアースは館を出ていくユリアとフレンを窓から見ながら、
「…ようやくだ。エミス・アリスレパード女王。貴女の予言は現実になる」
と、呟いた。