-恋花火-
板場の勝手口からこっそりと帰ったのは、もう町全体が静まった頃。
明日の朝にはきっと、大女将にひどく叱られるはず。
まぁそんなことくらい、私には大した話じゃないけれど。
ピカピカに磨き上げられた板場。
少し漂白剤の香りが漂っている。
そおっと板場を抜けて、照明の落とされた廊下を歩いて行った。
下から見上げると、桜の間の明かりは消えていた。
楽しい宴はとっくに終わったらしい。
祥ちゃんは、どんな顔で瑞希さんと話したんだろう…
さっきから、そんなことを考えては、自分の胸を苦しめている。
小さく見えた空は、星も見えない。
明日は雨だって天気予報で言ってたっけ。
泣きたいのに泣けないのは、いつからだっけ?
いつから泣いてないのかな…
きっと、
あの日を最後に、ずっと。
強く生きていかなきゃ。
そう思って、今も生きてるから。
私はこんなことで泣いたりしない。
明日の朝にはきっと、大女将にひどく叱られるはず。
まぁそんなことくらい、私には大した話じゃないけれど。
ピカピカに磨き上げられた板場。
少し漂白剤の香りが漂っている。
そおっと板場を抜けて、照明の落とされた廊下を歩いて行った。
下から見上げると、桜の間の明かりは消えていた。
楽しい宴はとっくに終わったらしい。
祥ちゃんは、どんな顔で瑞希さんと話したんだろう…
さっきから、そんなことを考えては、自分の胸を苦しめている。
小さく見えた空は、星も見えない。
明日は雨だって天気予報で言ってたっけ。
泣きたいのに泣けないのは、いつからだっけ?
いつから泣いてないのかな…
きっと、
あの日を最後に、ずっと。
強く生きていかなきゃ。
そう思って、今も生きてるから。
私はこんなことで泣いたりしない。