‐雨のち恋‐

その日の夜。



私は不思議な夢をみた。



彼が、雨音が、湖の真ん中で泣いている。


真っ白な世界で。



悲しんでいた。



なんでだろう………。



私は彼に触れようと必死に手を伸ばした。



でも届かない。



彼の悲しみに触れたい、



その一心だった。



私は叫んだ。


でも、声がでない。


何度も叫んだ。


喉がかれそうなくらい。


体力の残りを振り絞ってさけんだ。











『………雨音っー!!!』










彼が振り向いた。







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