‐雨のち恋‐


そこまで雨は強くなかった。


会社にもうすぐ着くところで雨宿りしている人がいた。


黒い髪に白い肌。


男なのに綺麗といってもおかしくない。


その人は蒼い眼をしていた。


不思議だった。


何故だかあの目に引き込まれる。


その人はびしょびしょだった。


傘を忘れたのだろうか。


私は彼に近づいた。


「あの。傘忘れたんですか??」


「まぁそんなところかな。」


彼は笑顔で言ってくれたが、言葉に感情はなかった。


「よかったらこの傘使ってください。」


「そんな、いいですよ。貴方がぬれてしまいますよ。」


「私は大丈夫ですよ。会社近いんで。」


私は彼にとても興味を持ったので強引に傘を渡した。


正確にはびしょびしょだったので心配だった。
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