恋人 × 交換!? 【完】
「ああ。元の家から高校が遠かったし。通うの大変だし。だからこのマンションに住んでるだけ」
「そうなんだ」
どうりで、他の人が住んでる気配が微塵も感じられないわけだ。
私にしてみれば、憧れのひとり暮らし。
しかも、こんな高層マンションでの。
なんとなくだけど、ますます彼と私の住む世界の違いを感じたような気がした。
わずかに縮んだと思っていた分、ゴムみたいに反動で前より引き離されたような感じだった。
「んなこといいから、ちゃんと食えよ。オマエの友達のやつに頼まれてんだからな」
「あ、うん」
返事をして、奏に冷ましてもらったおかゆを口にする。
卵とネギが塩味と絶妙に合って、もともとあまりなかった食欲も、むくむくとわいてきた。
ただ一点、そばで頬づえをついてる彼の視線を感じて、照れて食べにくいこと、この上なかったけど――。
。● TO BE CONTINUED.