恋人 × 交換!? 【完】
ふたりで、にぎわってきた人波にゆっくり飛びこむ。
つるされた赤いちょうちんの近くにあった出店で、私たちは焼きそばをふたパック買った。
「ぼくが持つよ。熱いからね」
男子らしい大きな、けれど繊細そうな細い手で、拓人さんはひょいと抱えた。
もう片方で、私の手のひらの下からそえるように優しく持ちあげ、
「下駄だから気をつけてね。段差あるから」
「あっ……はい」
まさに、王子様の振る舞いで気づかってくれた。
(モテるだろうな、この人)