恋人 × 交換!? 【完】


「えっ……!?」


「順を追って説明するよ。まず、さっきいったみたいに、ぼくは円ちゃんにひと目ぼれした。そして奏の付き合いたての恋人だと知った。ここまではわかるよね?」


「え、あ、はい……」



先生が生徒に教えるような口調で、拓人さんはいった。



「ぼくは古都と付き合ってた。でも、古都も実は、ぼくの友達として何度も会ってた奏のことが好きになってた。つまり、ぼくと古都は、それぞれ、そっちのカップルが好きになってたわけだ」


「……そうだったんですか……」




古都さんが、奏のことを、好きに――。



ちょっとだけ、胸が小さなハチにでも刺されたみたいにチクンと痛んだ。



あとからじわじわ痛みが増さないといいけど。



「うん。で、奏に相談したら、だったら試しに1週間くらい交換してみればいいだろって。お互いに納得すれば『そのまま交換』。決裂すれば、『戻ればいい』っていわれて……」



申し訳なさそうに、拓人さんは語尾を小さくして説明を終えた。

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